病態

高齢者の4大骨折に数えられる骨折です。
自覚なく発生する場合もあり【いつの間にか骨折】と言われることもあります。

骨折の形状にはいくつかタイプがありますが、多くは脊椎の前方部分の【椎体】が圧迫力によって潰れた状態の骨折となります。
好発部位

脊柱全体では【胸腰椎移行部】の【Th12】と【L5】が最も多く、それに次いで胸椎の後弯部の【Th7】に好発します。
胸腰椎移行部は胸椎の後弯と腰椎の前弯が入れ替わる部位であり椎体前方部にかかつ負荷が大きく、またこの部位の肋骨は胸郭を形成していないことなどの理由から圧迫骨折が起こりやすいとされています。
好発年齢・性別
年齢とともに椎体圧迫骨折の発生数は増加していきますが、男女比を見ていくと女性に多く発生することから閉経後の女性ホルモン低下からくる骨粗鬆症と関連があると考えられます。
また適正体重の人に対して肥満の場合に発生頻度が上がるという報告もあるため、体重との関連も考えられます。
予後
圧迫骨折後、特に複数個所の骨折では脊柱の後弯変形(猫背)変形を強く引き起こしていきます。
姿勢の変化に伴い、背中の筋肉の過緊張に伴う背部痛・腰痛であったり肺や消化器系内蔵の圧迫による機能低下など、これらの続発症により【ADL:日常生活動作】や【QOL:生活の質】が低下することとなります。
そのため圧迫骨折の予防や、骨折発生した場合は重症化予防のための対策が重要となります。
原因

前述の高齢者の4大骨折のうち、50歳代では骨折の発生件数自体が少ないですがその中でも橈骨遠位端部骨折:手首の骨折が最多ですが、70歳代以降この圧迫骨折の発生頻度が急激に増加してきます。
いずれも転倒によって発生しやすい骨折ですが、とっさに手が出る50歳代では手に関係する骨折が多く、とっさに手が出ず特に後方に転倒し尻もちをついた際に脊柱椎体圧迫骨折が発生すると考えられます。
青壮年期の場合にも発生することがありますが、その際は高所からに転落や事故といった大きな外力で発生します。
症状
圧迫骨折の6割近くが自覚なく骨折しているという報告もあり痛みだけでは一概に言えませんが、自覚症状がある場合は脊柱を跨ぐように両側性にまた広範囲に痛みを訴えるとされています。
詳しい所見は後述致しますが、骨折の疑われる椎骨棘突起への圧迫痛・叩打痛、運動時痛がみられます。

骨折の痛みや変形による姿勢・動作の悪化に伴い日常生活動作に制限を受けることとなっていきます。
評価法
病態は骨折であるため気になる症状がある場合は専門医の受診をお勧め致します。
外観のみでもちろん圧迫骨折の有無を評価することは困難ではあり、確実性の高い検査法ではありませんがここでは簡易的な評価方法をお話いたします。
疼痛所見

棘突起の叩打痛や広い範囲での痛みを訴えられることが多見られます。
椎体や椎間板の知覚を支配する左右の椎骨洞神経が痛みを拾うため、右側だけという様な片側性の痛みではなく両側性で広い範囲での痛みを感じるとされています。
壁-後頭間距離

【方法】
壁を背にして背面をつけて立つ
【陽性所見】
壁に後頭部がつけられない
胸椎に圧迫骨折がある可能性が示唆される
肋骨-骨盤間距離

【方法】
立位で後方より術者が肋骨と骨盤間に手を当てて距離を測る
【陽性所見】
肋骨と骨盤間の距離が2横指以下
腰椎に圧迫骨折がある可能性が示唆される
身長低下
身長が2㎝以上の低下がみられる場合は圧迫骨折による身長低下が示唆されるといわれています。
改善方法
圧迫骨折は基本的には保存療法が適応されますが病態は骨折であり、状態によっては手術療法の適応もあります。
また骨粗鬆症に起因する場合は投薬療法が必要な場合もあるため専門医の受診を重ねてお勧め致します。
医療機関の受診が基本となりますが、ここでは圧迫骨折の予後に対する方針について簡単にお話していきます。
圧潰の進行・脊柱の変形防止
一般的な椎体前方が潰れてしまう骨折の場合、骨が癒合するまでの間は更に圧潰が進行していく恐れがあり、これに伴い脊柱の後弯変形が助長されることとなります。
そのため骨折部に圧迫ストレスを加えないように骨癒合の為の安静期間をもうけることや装具療法の実施、日常生活の中で猫背の姿勢や動作をとらないような工夫などが必要となります。
一例ではありますが日常生活動作の注意するポイントをお話します。
これは圧迫骨折だけではなく日常動作において基本となることでもあります。


座面の低いソファなどは背中が丸まりやすいため、座面の高さにも注意が必要です。
また背もたれなどがある場合は枕などを挟むことで背中が丸まらない様に工夫したり、立ち上がりや着座の際も背中が丸まらない様にすることも重要となります。
不活動・転倒防止
骨癒合の為に安静期間をとることは重要事項でありますが、この期間が長くなると筋力の低下などから日常生活への復帰が困難となる恐れがあります。
よって骨折部の安静を確保しながら患部以外の下肢や骨癒合の状態や各個人の能力に合わせての体幹部の可動性確保や筋力強化の実施が必要となります。
背臥位(仰向け)➡伏臥位(うつ伏せ)➡四つ這い➡座位➡立位といった段階的に難易度を上げて実施していきます。
あくまでこちらも一例ですがこのような方向性で改善を図ります。

【大腿後面のストレッチ】
骨盤が後傾すると背中も丸くなるため、骨盤の後傾を助長するハムストリングスの柔軟性を確保するストレッチを行います。
ストレッチの際に骨盤が後傾しない様に注意が必要です。

【背部筋と殿筋の強化】
肩甲骨を寄せつつお腹に力を入れて、ゆっくりとコントロールしながらお尻を持ち上げます。
両足接地➡片脚と実施強度は段階的に上げていくことが望ましいです。

【体幹強化】
お腹を凹ませつつ実施します。
体幹の力を入れつつ四肢が協調的に動かせることが大切です。
うつ伏せ➡四つ這いと実施強度は段階的に上げていくことが望ましいです。
予防が重要
まず予防が大切である言えます。
仮に圧迫骨折を起こしてしまっていたとしても早期に発見・治療を、さらに重症化予防を目標に日々の生活に落とし込んでいくことが何よりも重要であると考えます。
終わりに気になる症状がございましたら専門医の受診をお勧め致します。
気になる症状を抱えながら【大丈夫だよ】とするのではなく、医師の診察を受けたうえで【大丈夫だったよ】とすることの方が仮に問題がなかったとしても安心できますし、もし圧迫骨折があった場合は早期に治療ができます。
この記事がお役に立てたのなら幸いです。


