非特異的慢性腰痛症

脊柱

病態

脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなど明らかな要因がない腰部の痛みが一般的には3カ月以上の腰痛が持続した状態を慢性腰痛症としています。

後述しますが単に組織損傷が長引いているということだけではなく心理的・社会的な要因が複雑に絡み合っていることも少なからずあります。

原因

慢性腰痛の原因は多岐にわたりますが、現在では大きく分けて3つの要因があるとされています。

【生物学的要因】
骨・関節・筋などの身体的側面の要因

【心理的要因】

腰痛による心理的な要因
痛みに対する考え方とらえ方、それに伴う行動など

【社会的要因】

ご自身の家族・友人など関係や仕事面の影響、経済的な背景、生活環境などの要因

これらの要因の占める割合は人それぞれ違いますが、3つを分けて考えるのではなく、複雑に関連しているのであるという認識を持つことが大切とされています。

症状

診断名の付く椎間板ヘルニアなどの腰痛以外であれば、基本的に組織修復がされるため炎症の痛みは長期化しづらいと考えます。
もちろん物事には例外がありますが3カ月以上痛みが続くという場合は、【生物学的要因】である姿勢や動作による慢性的な負荷にさらされている可能性や、特に【心理的要因】【社会的要因】が強く関わっていることが考えられます。

一昔前までは心因性の腰痛といわれていた部分ですが、これらは特に画像所見に反映されない部分でもあります。

心理・社会的要因の関与が疑われる症状

以下の内容だけではもちろん評価はできませんが、心理・社会的要因の関与が考えられる症状となります。

●痛みの範囲がいまいちはっきりとしない
●日によって痛みの部位が変化する
●痛みの程度が心理状態に左右される
●頭痛や肩こりなど他の部位の不定愁訴を複数合併している
●不眠などの症状を合併している

痛みの悪循環

運動することで痛みが生じると運動そのものが悪いものと認識してしまい、必要以上に動くことを制限することとなってしまいます。

もちろん組織に損傷があり炎症を起こしているような時期は安静が必要です。
しかし明らかな受傷起点がなく数カ月にわたり痛みが続いている場合は痛みの主な原因は炎症ではなく別の要因にあると考えられます。

炎症以外の要因も、心理的・社会的な要因や誤った身体の動かし方や筋力や柔軟性の低下といった身体的な要因と多岐にわたるため割愛いたしますが、安静が必要となる炎症以外の要因であるならば必要以上に運動を制限することは身体的な機能低下を助長させ、運動に対する恐怖を作り出すこととなります。

これにより日常生活動作においても痛みに対する感じ方が過敏となり、運動や痛みからの回避・不活動➡身体的機能低下➡痛みの増強➡もっと動かなくなるといったさらに痛みを感じやすくなる環境が整うといった悪循環が生じることとなります。

評価法

カウンセリング、身体的所見から総合的に評価を行っていきますが、まずは【危険信号】など適応外の疾患が隠れていないかの確認を行い、危険信号から適応外の疾患が疑われた場合は専門医の受診をお勧めしております。

危険信号:Red flags

腰痛を伴う重篤な疾患を疑う所見がみられた場合は慎重な評価と専門医の受診をお勧めしております。

若年期では腰椎分離症や椎間板ヘルニアなどを、高齢期では悪性腫瘍や圧迫骨折などの可能性を気にしなければなりません。

特異的腰痛と非特異的腰痛の鑑別評価

原因が明らかである腰痛との鑑別評価を行います。

神経症状が認められない、脊柱に明らかな変形がない、仮にあったとしても症状と一致しない場合は非特異的腰痛として対応を進めていきます。

以下の記事もご参考ください。

痛みの分類評価

ヒトが痛みを感じるメカニズムは大きく分けて以下の3つに分類されます。
これらが複合的に絡み合って痛みを起こすともしばしばあります。

慢性腰痛症では【痛覚変調性疼痛】関与が疑われることがしばしばみられます。

侵害受容性疼痛

一言でいうと皮膚や筋肉などの身体の組織が傷つく、または傷つきそうな際に感じる痛みです。

一般的に怪我をした際の日常的生じている痛みであり、打撲や切り傷や繰り返しの外力などの機械的刺激、火傷などの熱刺激、炎症物質による化学的刺激があります。

神経障害性疼痛

前述の身体の痛みを脳へ伝える神経自体が問題となる痛みです。

慢性の坐骨神経痛などピリピリ・チクチク、時には刺すような痛みなど感じる痛みの表現は様々ですが難治性とされます。

痛覚変調性疼痛

一昔前までは心因性の痛みと言われていた痛みとなります。

痛みを感じとる【脳】の方が過敏になったものと考えられています。

心理・社会的要因の評価

当店で心理・社会的要因の関与を評価する際に使用しているカウンセリング表の一部となります。

合計15点以上で陽性となります。
その場合は専門医の受診をお勧めしております。

改善方法

前述した痛みの悪循環を断ち切るためにもまずは痛みに対する正確な認知が必要といわれています。
痛みの原因をしっかり認識し動ける範囲で日常生活を平常運転に徐々に心身ともに馴染ませていくことが大切であると考えています。

特に痛みの経過が長く、痛みに過敏になっている状態にはヨガや太極拳などの運動負荷の比較的軽い運動を継続することで、脳での痛みの感じ方を軽減させる効果があると報告されています。

『この位までなら動くことができる』という意識改革を行いながら、【できる領域を少しづつ増やしていく】ことで慢性腰痛の改善を図ります。

慢性腰痛でお困りの方は是非ご相談ください!

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