概要

まず神経叢とはいくつかの神経が叢(草むら)の様に集まり吻合したものを言います。
頸椎から始まり、肩甲骨周囲や鎖骨周辺の胸部、上肢の感覚や運動をつかさどる神経がこの腕神経叢から分布します。

腕神経叢は頸椎を出た後、【斜角筋隙】を通過し、末梢神経の枝を出しながら【肋鎖間隙】を下り、【小胸筋と肋骨の間】をさらに通過して上肢へと走行します。
特に上記の3か所は神経圧迫の好発部位で、ここで神経を絞扼されたものを【胸郭出口症候群】と呼んでいます。
構成

腕神経叢は第5頚神経【C5】~第1胸神経【Th1】の前枝が合わさり作られます。

【神経幹】
●上神経幹:【C5】と【C6】が合流
●中神経幹:【C7】
●下神経幹:【C8】と【Th1】が合流
【神経束】
●外側神経束
【上神経幹】と【中神経幹】の前方(浅層)の枝が合流
●内側神経束
【下神経幹】の前方(浅層)の枝からなる
●後神経束
後方(深層)の枝3本が合流してなる
鎖骨上部/下部の枝

腕神経叢は鎖骨や肩甲骨周囲に分布する【鎖骨上部の枝】と上肢へ分布する【鎖骨下部の枝】に分けられます。
腕神経叢から派生する神経

【鎖骨上部の枝】
【肩甲背神経】:C5
【長胸神経】:C5~7
【鎖骨下筋神経】:C5.6
【肩甲上神経】:C4~6
【鎖骨下部の枝】
●外側神経束
【筋皮神経】:C5~7
【外側胸筋神経】:C5~7
【正中神経】(外側根):C5~7
●内側神経束
【内側胸筋神経】:C8~Th1
【内側上腕皮神経】:Th1
【内側前腕皮神経】:C8.Th1
【尺骨神経】:C8.Th1
【正中神経】(内側根):C8.Th1
●後神経束
【肩甲下神経】:C5~8
【胸背神経】:C6~8
【腋窩神経】:C5.6
【橈骨神経】:C5~Th1
腕神経叢からの末梢神経感覚分布

腕神経叢から分布した各末梢神経は固有の皮膚感覚の領域を持っています。
それぞれの末梢神経の障害により特有の感覚障害が発生します。
上肢を支配する神経が頸椎から始まる理由

上肢を支配する神経が頸椎から出ていく理由としては進化の過程から見ていく必要があります。
魚類にまで遡ると、ヒトでいう上肢にあたる胸ヒレは頭の直下から生えています。
ここから両生類➡爬虫類➡四足獣➡ヒトと進化をしていく中で【首】が伸びてきたため昔の名残として頸椎から上肢へ向かう神経が伸びていく構造となっています。
頸椎に問題が生じると手にも症状が出現する理由はここにあるといえます。


